樹脂押出成形におけるトラブルと解決方法2
概要
樹脂押出成形ではPVCやABS、ASAやエラストマーなど、多種多様なプラスチック材料を使用しています。
また樹脂押出成形の生産工程では、外観品質や寸法品質を緻密に管理するために高い生産技術力が必要となります。
樹脂押出成形の生産現場では生産品毎に様々な品質トラブルが発生します。
ここでは、樹脂押出成形でよくあるトラブルとその解決方法について、4つをご紹介します。
1 ツヤ・テカリ
【ツヤ・テカリとは】
ツヤ・テカリとは意匠面、見えがかり面(見え面)の一部に光沢が発生した現象です。
特徴はリブ(T字)部分の周りや、偏肉がある部分に発生しやすいことです。
特に外観品質を求められる樹脂押出成形品の場合、ツヤ・テカリは重大な品質トラブルになります。
【発生原因】
①ダイスのリブ部分の流速差で、ダイスから発生する
②ダイスからの流速が変動し、肉厚が厚くなるとサイジングに擦れる
【対策】
①ダイス点検し、流動面に付着しているプレートアウト等を除去する
②ダイスの流速調整を行う
③ダイス点検・メンテナンスを確実に実施しているサプライヤーに依頼する
2 練むら
【練むらとは】
練むらとは意匠面、見えがかり面(見え面)等成形品の表面に異物状の肌荒れを起こす現象です。材料ロットや押出機等の違いによっても発生します。
写真のように樹脂押出成形品に練むらが発生すると、外観不良としてトラブルの原因となります。
【発生原因】
①成形条件が合っていない
②樹脂圧低下を起こしている
③材料ロットや色目によるバラツキ
【対策】
①成形条件を調整する
②ダイスをクリーニングし、プレートアウトや焼けなどを除去する
③樹脂圧が上がるように、ダイス調整する。
④ダイス点検・メンテナンスを確実に実施しているサプライヤーに依頼する
3 色混じり
【色混じりとは】
色混じりとは指定色以外の色が混じり、意匠面、見えがかり面(見え面)等に出てくる現象です。
特徴は近似色での色混じりの場合、違いが分かりにくいことです。
逆に、白と黒といった色調が全く異なる色同士がまじりあった場合、目立ちやすく、トラブルの原因となります。
【色混じりの発生原因】
①色替え作業中のホッパー内のクリーニング不足
②ダイスのクリーニング不足
【色混じりの対策】
①ホッパー内のクリーニングの際、掃除機などを使用し確実に行う
②ダイスをクリーニングする
③ダイス点検・メンテナンスを確実に実施しているサプライヤーに依頼する
4 プレートアウト
【プレートアウトとは】
プレートアウトとは樹脂配合物の一部が分離してダイスに付着した現象です。
樹脂配合物が一番多く付着する部位はダイスのランド(流路)部が多いです。
【プレートアウトの発生原因】
①ダイスは、プレートとプレートの組み合わせの為、プレート部の微妙な段差のずれがあると付きやすい
②材料を生成する際に、柔らかくする成分(可塑剤)と劣化を防ぐ安定剤等、数種類の添加剤が配合されているため、一部の練り切れない配合剤が分離して、付着堆積する
【対策】
①ダイスの芯出し調整を行い、段差をなくす
②材料メーカーに改善要望する