樹脂押出成形におけるトラブルと解決方法
概要
樹脂押出成形ではPVCやABS、ASAやエラストマーなど、多種多様なプラスチック材料を使用しています。
また樹脂押出成形の生産工程では、外観品質や寸法品質を緻密に管理するために高い生産技術力が必要となります。
樹脂押出成形の生産現場では生産品毎に様々な品質トラブルが発生します。
ここでは、樹脂押出成形でよくあるトラブルとその解決方法について、3つをご紹介します。
ダイスマーク
【ダイスマーク不良とは】
ダイスマークとは樹脂押出成形品の意匠面、見えがかり面(見え面)等成形品の表面に現れる、ひっかいたように見えるスジです。
特徴はくぼんだスジができることで、肉眼ではっきり確認できます。このダイスマークはヘアラインのように意図して活用することもあります。
しかし一般には押出成形品の設計時にダイスマークの発生を考慮することはなく、意匠面にダイスマークが発生してしまうといったトラブルが起こります。
さらにダイスマークは生産が進むにつれ大きくなることもあり、当初は良品生産ができていたものの、後から品質トラブルとなることもあります。
【ダイスマークの発生原因】
① 金型(ダイス)のクリーニングや組付けの際に、スリットや流動面にキズができる。
② 異物、焼けやプレートアウトなどで樹脂が付着する。
【ダイスマークの対策法】
① ダイスマークを生じやすい材料を避ける
② 金型設計から相談できる押出成形メーカーと、設計段階から打ち合わせを行う
③ ダイス点検・メンテナンスを確実に実施しているサプライヤーに依頼する
サイジングマーク
【サイジングマークとは】
樹脂押出成形の工程では金型から樹脂を押し出した後に、冷却・形状矯正を行います。この工程に使用する金型の一部をサイジングと呼びます。
サイジングマークとは、意匠面・見えがかり面にサイジングのキズやバキュームスリットの削り粉が原因で流れ方向にひっかいたようなスジのことです。
ダイスマークが押し出しの際に発生する不良であることに対して、サイジングマークは成形用金型から樹脂を押し出した後、サイジングを通過する際に生じるスジです。
特徴はスジが押出方向につき、表面よりくぼんでいることです。また、製品が冷え固まってできたスジのため、ラインが白化している場合もあります。
そのため、肉眼ではっきりと見えるキズとなります。
【サイジングマークの発生原因】
①サイジングのクリーニング中や成形の際に成形面を打ち、キズをつける。
②異物やバキュームスリットの削り粉が成形面に溜まりキズをつける。
【サイジングマークの対策】
① 製品設計時から、サプライヤーの生産技術を含めて打ち合わせを行う
白スジ
【白スジとは】
白スジとは押し出し成形品の意匠面・見えがかり面(見え面)に白いスジ状のラインが流れ方向に発生する現象です。
黒や焦げ茶といった暗色の樹脂押出成形品では特に白スジが目立ちやすく、トラブルの原因となります。
【白スジの発生原因】
① 材料ロットや着色顔料によって樹脂の分散状態が悪い
② 二層成形(二色成形)の製品において、金型構造の問題で発生しやすい
③ 引き取りローラーを強く締めすぎてしまう
【白スジの対策】
① 設計段階から材料選定、金型構造を含めた打ち合わせをサプライヤーと実施する